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統合失調症とは

 統合失調症とは、脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。ほかの慢性の病気と同じように長い経過をたどりやすいですが、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。

 統合失調症は約100人に1人がかかると言われており、決して珍しい病気ではありません。思春期から40歳位までに発病しやすい病気です。統合失調症の治療は、薬を使う薬物療法や、専門家と話をしたりリハビリテーションを行う心理社会療法などを、組み合わせて行います。

 統合失調症の症状は大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けることができます。また、統合失調症は病気の経過により、前兆期・急性期・消耗期(休息期)・回復期に分けられます。それぞれの病期で特徴的な症状が認められます。統合失調症の症状と病気の経過について、詳しく述べたいのですが、長くなってしまうため、ここでは割愛させていただきます。詳しいことを知りたい方は、Googleの検索や末尾に記した参考文献を参照することをおすすめします。

 統合失調症の治療ですが、主に薬物療法と心理社会療法があります。急性期には薬による治療が中心となりますが、なるべく早い時期から薬物療法と精神科リハビリテーションを中心とした心理社会療法を組み合わせた治療を行うことが効果的です。

 薬物療法ですが、主として脳内で過剰に活動しているドーパミン神経の活動を抑えることで症状を改善すると考えられている抗精神病薬の使用があげられます。抗精神病薬の使用は、症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮します。また、抗精神病薬のほかに症状に合わせて、不安や抑うつを和らげる薬、睡眠薬などが使われます。また、抗精神病薬の副作用を抑えるための薬が処方される場合もあります。以前は、手足の震えやのどの渇きなど副作用が出やすかったのですが、最近は、新薬が出て、薬の副作用も出ににくなりました。ですが、人によっては、副作用が出る場合もあるので、おかしいと思ったら主治医に相談してください。また、薬を勝手にやめると症状が再発して、治りにくくなります。薬には再発を予防する効果がありますから、薬を続けることはとても重要です。薬を飲むことをやめる、薬の量を減らすなどについては、主治医とよく相談して決めましょう。

 心理社会療法ですが、病気の症状で生じる日常生活のしづらさを改善し、スムーズに安定した生活を送ることを目的に行ないます。具体的には、デイケア、SST(生活機能訓練)、作業療法、心理教育などがあり、医師や看護師の他、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士などの専門職が連携して行います。これらのプログラムを通して、病気の症状を改善していきます。

 また、病気の症状が安定してきたら、就労移行支援事業所や障害者枠の就労を通して、社会復帰することも可能となりました。いずれにせよ、あせらず自分のペースで病気を治していくことが大切です。

 一昔前までは、統合失調症にかかると精神科デイケアに通い、薬を服用しながら作業所に通うといったケースがほとんどでした。それが、2005年に障害者自立支援法(現在は、障害者総合法)が成立し、2018年4月から、精神障害者の雇用が義務付けられ、精神障害者を取り巻く環境は大きく変化しました。ですので、統合失調症にかかったからといって、悲観することはありません。現在は、病気を治しながら、社会復帰ができるようになりました。精神科・心療内科の項目では、このような社会制度について、今後、記していきます。

参考文献・サイト どうしたらいいの?「統合失調症」 上島国利 著 大和出版

         厚生労働省 こころの病気を知る みんなのメンタルヘルス